ここでは、乗り心地のよい運転の必要性について見ていきましょう。
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想像してみよう
あんしん運転を提供するのに大切なことの一つが、「想像力」です。しっかり情景を想像しながら、以下の事例について考えてみてください。
なお、本ブログに挙げられた事例は、特に記載のないものについては、すべて架空のものです。
それぞれの事例には問題がついています。正誤を問う問題ではないので、推定されるだけのものでもかまいませんので気軽に考えてみてください。
問題文をクリックすると解答例が表示されますが、これらはあくまで「例」です。
事例1
サマーキャンプでのごはん作りを指揮する係の▲▲は、非常に車酔いしやすく、今回のキャンプでのワゴン車への乗車はとても心配だったのですが、やはり▲▲が先にキャンプ場に乗り込まないことにやごはん作りの準備ができないので、キャンプの初日朝、やむを得ず、ワゴン車で先発隊の一員としてキャンプ場へ向かいました。
ワゴン車担当のドライバー■■は、運転経験も豊富で、優先判断や、メリハリのある運転にとても定評があります。しかし、■■は▲▲が車酔いしやすいことを知らなかった上、自身の運転への過信や、先発隊が遅れてしまうとキャンプ全体のタイムテーブルが押してしまうという焦りから、ついつい乗り心地を後回しにした、とにかく急ぐ運転を行ってしまいました。
結果、▲▲はひどい車酔いに悩まされ、各SA/PAで長時間の休憩を取らざるを得なくなったうえ、キャンプ場についてもしばらくまともに指示を出せる状態ではなく、ごはん作りの準備が終わる前に、子供たちの乗ったバスがキャンプ場に到着してしまいました。
事例2
今年のキャンプの1年生スタッフによる小劇は、とにかく作り込まれた衣装と小道具が売り!
今年はみんな本当に意欲的で、キャンプの数か月も前から先輩たちから情報を仕入れて準備に取り掛かり、超大作とも言える素晴らしい劇を完成させ、キャンプファイアを心待ちにしていました。
キャンプ前日も、2tトラックの揺れにしっかり耐えられるように丁寧に箱づめした衣装や小道具を、しっかり積み込みました。しかし、やはり作り込みすぎた感があり、少々デリケートだったので、ドライバーの◆◆に、丁寧に運転してもらえるよう、お願いしました。
ところがキャンプ初日、ただでさえトラックの運転に慣れていない上、高速道路が渋滞までいかないまでも混雑していたため、ついつい◆◆は、車線変更の度に急な加減速や、急ハンドルを使う、危なげな運転をすることになってしまいした。
そして2日目、キャンプファイア直前。衣装と小道具の箱を開けた1年生たちは、箱の中のあまりの惨状に…
事例3
キャンプ2日目朝。起きてきたYくんは、どうもお腹の調子が悪く、のども痛いようです。そういえば、昨日、就寝準備の際に少し雨が降りましたが、Yくんはその時、雨の中に飛び出して遊んでいて怒られていたような…
朝の体温計測で、38.2℃だったYくん。看護師さんといっしょに、クルマで病院へ向かうことになりました。
ただでさえ具合の悪いYくん。一刻も早く病院に送り届けようと、ドライバーの▲▲は、つい山道を焦って運転してしまいました。その結果、Yくんは、なんと車内で吐いてしまいました。突然のことでエチケット袋の用意も間に合わず、車内は大変なことに…。
乗り心地の良い運転の大切さ
「乗り心地」というと、どうしても安全や定時性に比べて二の次、というイメージを持たれがちですが、「想像してみよう」からもわかる通り、乗り心地を損なう運転は実害を伴います。あんしん運転を目指すドライバーにとっては、乗り心地のよい運転も、法規走行や防衛運転と同じレベルで大切です。ナメてはいけません。
具体的には、乗り心地の良い運転を行わない場合、
- 同乗者への健康被害や、荷物の損傷
- 同乗者のパフォーマンスの低下による、タイムテーブルの押しなどその後の予定への影響
- 運転者自身への疲労の蓄積による、運転の質の低下
といったデメリットがあります。
今後の記事にて、再現性の高い、「低ジャーク走行」を通じた乗り心地のよい運転についてお話しします。
まずはここまでお読みいただき、ありがとうございました。