防衛運転とは、どん欲に情報を取り、そこからの危険予知により、積極的に事故を回避する運転です。
見通しの悪い、細い道との交差点に警戒する(情報を取る)
- 横からボールが転がってきたのを発見、もしかして、子どもが後を追ってくるかも…?(危険予知)
- 子どもが飛び出すであろう地点までに停止できるように減速(の準備を)する(防衛運転)。
上の例のような典型的なものもあれば、下の例のようなものもあります。
片側1車線道路を走行中、右前方に障害物を発見(情報を取る)
- 対向車が障害物に向かって走ってきていて、右ウィンカーを出している。こちらに気づいていないのか、スピードを落とす気配がない。もしかして、出てくるかも…?(危険予知)
- 対向車がそのまま障害物を避けるためにこちらの車線にはみ出してきても衝突しないよう、タイミングを調整する(防衛運転)。
この例では、優先車両はこちらなので、こちらが譲る義務はありません。
むしろ、本当に対向車が出てきた場合、対向車は、こちらに対する進路妨害となります。
つまり、これで事故が起きれば、基本的には相手の過失割合が高くなります。要するにあっちのせいです。
ですが、もしこの場面でこちらが、急病の子供を乗せて医療機関に向けて走行中、というシチュエーションだったら…?
事故というのは、どちらが悪い、というような勝ち負けの問題ではありません。
事故が起きた時点で、どちらの責任であろうと、双方とも、負けです。
そこでここでは、「どちらが悪い」という視点から脱却し、事故そのものを完封するために必要な、幅広い視点からの危険予知、ひいては積極的に、能動的に事故を防いでいく防衛運転について学びます。
想像してみよう
あんしん運転を提供するのに大切なことの一つが、「想像力」です。しっかり情景を想像しながら、以下の事例について考えてみてください。
なお、本ブログに挙げられた事例は、特に記載のないものについては、すべて架空のものです。
それぞれの事例には問題がついています。正誤を問う問題ではないので、推定されるだけのものでもかまいませんので気軽に考えてみてください。
問題文をクリックすると解答例が表示されますが、これらはあくまで「例」です。
事例1(この事例のみ実話)
サマーキャンプ前日、駅の近くのとても狭い駐車場にハイエースを駐車しようとしていた私は、運転席からの目測で内輪差を見誤り、側面を駐車場の構造物にこすり、車に傷をつけてしまいました。
その後、ただちに警察に通報し、レンタカー会社等関係箇所に連絡を行いました。また、事故処理に時間がかかるため、同乗者で後輩のHには、先に帰ってもらいました。
やがて警察官の方が現場に到着しましたが、やってきたのは、ふだんから町のさまざまな場面でよくお世話になっている、近くの交番のWさんでした。
事例2
レンタカーを返却する途中の△△は、狭い商店街を約25km/hで走行していました。
途中、駄菓子屋さんの前に、子どもの自転車が4台ほど止めてありました。そしてちょうどKちゃんが店から出てきて、そのうち1台に乗って発進していきました。
事例3
最終日の帰り道、Mくんが関越道高坂SAでの予定通りの休憩後、急にトイレに行きたくなったため、Mくんを乗せたバスは三芳PAに臨時停車。タイムテーブルがだいぶ押していたため、その後バスはすぐに出発し、Mくんと、一緒に降りた1年生スタッフの◆◆はトイレが済んだ後、スタッフ〇〇の運転するクルマに乗って帰ることになりました。
大泉JCTを左に出た後、外環自動車道は比較的空いていたのですが、どうもその先の首都高は渋滞しているらしい、と〇〇は聞いていたため、急げるうちに急いでおこうと、少々速めに外環道を走っていました。
この先は、世にも珍しい、高速道路なのに信号機のある美女木JCTを右折。左の側道に抜けないといけないから、そろそろ左に入ろうかな。
あれ、カーブしていて前がよく見えないけれど、なんだか壁にテールランプがたくさん反射してるのが見えるぞ。
防衛運転の大切さ
言うまでもなく、私たちは、絶対に事故を起こせません。90%無事故でも、99%無事故でもダメ。100%無事故。これが絶対。これを守らないと、こんな取り返しのつかないことになります。
- 絶対に補償のできない、かけがえのない命を奪うことになる。
- 各種イベントが予定通り遂行できない。
- 保護者や地域の皆さまの信頼を損ね、キャンプのみならず、今後のサークルの活動に差し支える。場合によってはサークルの存続ができない。
- ドライバーである自分自身の今後の人生に大きな影を落とす。
- 大学にも多大なる迷惑をかける。
- 関係の深い、小学校や児童館など他団体にも少なからず影響を与える。
しかし、こんなに重大な結果を遺してしまう交通事故も、繰り返し学習することで危険予知力を高め、徹底した防衛運転を励行することによって、なくすことができます。
本来であれば、危険予知力を高めるためには、様々な場面で、ひたすら運転経験を積むのがいちばんなのですが、アマチュアドライバーの私たちは運転が本業ではないので、そこまでの時間は割けません。
そこで、効率よく危険予知力を高めるために、ドライブレコーダーによる事故事例を集めた映像を視聴し、それについてディスカッションするなどの方法で、学習をすすめていきましょう。
本記事はここまでです。お読みいただきありがとうございました。
次回は、実際の学習に使える各種教材をご紹介します。すぐに使える無料のweb教材もあるので、チェックしてみてくださいね。